この抽象度については、〈その1〉で基本的な考え方を述べていますので、先ずはそちらを参照してから今回分を読んでいただくと、更に理解が深まると思いますので、よろしくお願いします。
皆さんにまずは質問をしていきたいんですけれども、もっと発想力を豊かにしていきたいとか、人と違った視点で物事を見ていくようになりたいとか、そういった気持ちはなかったでしょうか?
会社の営業であれば、競合先と同じアイデアで見積書を提出しても、最終的には値段が叩かれるだけです。
仮に社内であっても、周囲と同じアイデアを出してばかりいれば、上司は決して評価はしてくれません。
結論から言えば、こんな状況の時、抽象度と言う考え方は非常に役に立ちます。発想力を豊かにし新たな着眼点を得るためにはこの抽象度と言う考え方が必要不可欠と言っても過言ではありません。
私の以前の仕事の経験から抽象度と言う考え方がどのように皆さんの発想力の豊かさにつながっていくのかをまずは説明していきたいと思います。
以前私は超一流国公立大学の出身者でアメリカで超一流大学のMBAを取得し日本で非常に著名な創業者の下で鍛えられた気合の入った毛並みの良いエリート上司の下で仕事をしたことがありました。頭も鋭く切れるが、実践経験が豊富でひとつひとつの言葉の迫力が違います。正直恐ろしい存在でした。
この上司は常に物事は細く千切りしていけと周囲の部下に激を飛ばしていました。物事を細かく千切りするとは、その言葉通りの意味合いですが、物事を細かくブレークダウンし具体化していくことに他なりません。
ではなぜ物事を細かく具体化していくことが大切なのでしょうか?
いろいろな考え方があるかもしれませんが、大切なことの中の1つに、物事を先ず細く千切りしていく、そこから抽象度を上げていく、そして抽象度を上げた上で、今度は抽象度を下げていく、そこからまた抽象度を上げていく、この繰り返しにより思考のピラミッドが大きくなり、漏れなくダブりなく発想力を豊かにしながら物事を思考することが可能になり、間違いなく思考能力が鍛えられます。
最初の小さな括りを、細く千切りしブレイクダウンすることによって、新たな着眼点で小さな括り或いは大きな括りにまとめることが可能になり、その異なった括りから再度細かく千切りしブレイクダウンすることによって、周囲とは異なった新たな発想が生まれてくると言うことです。この繰り返しは抽象度の上げ下げと言うことに他なりません。哲学的な用語で表現すると、帰納と演繹の繰り返しです。
一つ例を挙げて説明していきます。前回の章で取り上げたポメラニアン、ダックスフント、ブルドック、この三つから一つ抽象度を上げていくとどのような答えになるでしょうか?
前回の章での答えは非常に分かりやすく説明するために犬とかペットと言いましたが、実は答えは無数にあります。
例えばこの三つの共通項に挙げられるものが仮に外国産の犬だとしたら外国産の犬が抽象度を一つ上げたことになります。この抽象度を一つ上げると言う事は小さなグループ作っていくと考えてもらって結構です。
ではその他にどのような答えがあるでしょうか?
様々な答えが考えられますが値段が高いペットと考えてもいいわけです。値段が高いペットという括りも一つの共通する小さなグループだと言うことです。
今度は抽象度を下げていきましょう。
外国産の犬と言う一つのグループから抽象度を下げていくと、ポメラニアン、ダックスフンド、ブルドックと言う答え以外にチワワが出てくるかもしれませんし、シェパードと言う答えも正解です。
値段が高いペットと言う一つのグループから抽象度を下げていくと、ポメラニアン、ダックスフンド、ブルドックと言う答え以外にアメリカンショートヘアと言う猫もあげられるし、少し風変わりになるかもしれませんが、オウムと言う鳥も挙げられます。
最終的には異なった小さな括りから異なった具体的なアイデアが生まれてくると言うことに他なりません。それが発想力を豊かにする源です。
非常に簡単な例を挙げましたが、会社で何かプロジェクトを運営していて、何か問題が出た場合、その対処方法はたくさんあると思います。
通常は現状分析から始まりますが、メーカーであれば人、設備、方法、材料といった四つグループから考えるのが一般的です。その四つのグループから細く千切りしていき、具体的な原因をブレイクダウンしてきます。その細かく噛み砕かれた原因が他のグループの原因と結び合うことで、新たな着眼点が生まれると言うことです。
結局は物事を千切りしていることにより抽象度の上げ下げが可能になり新たな着眼点を獲得でき周囲とは異なった発想力を持つことが可能になるのです。
最初は慣れなくて少ししんどいかもしれませんがそれは最初のうちだけです、訓練と習慣であなたの発想力は豊かになる事は間違いありません。周囲とは異なった着眼点を獲得することができるのです。それを可能にするのがこの抽象度の一つ一つの小さな上げ下げになるわけです。
抽象度の上げ下げを素早くできるようになるとあなたの上司あるいは周囲を唸らせることができるようになります。唸らせると言ったのは、周囲は本当に評価している事は口に出して素晴らしいと表現することが少ないからです。ですから周囲が思わず唸っているその姿を見るとあなたを絶賛していると思ってもらって結構です。
如何だったでしょうか?
このお話は皆さんのお役に立てたでしょうか?
引き続き抽象度については実践活用例を上げながらブログで書いていきますので今後ともぜひ読んでくださいね。ありがとうございました。
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